歯周病とは細菌が原因で引き起こされた炎症によって、歯を支える骨が減っていく病気です。歯を建物に例えると、次第に地盤が緩み(歯の動揺)、病状が進行すれば、最終的には、倒壊します(歯が抜けてしまいます)。
▼正常な歯と歯周組織▼ ▼進行する歯周病▼ 平成11年歯科疾患実態調査によると、35歳以上の成人で84%以上が罹患しており、40歳以上では、歯周病で歯を失う比率も高くなっています。
以下の項目に該当していませんか?
これらの項目は、すべて歯周病による代表的な症状です。
- 朝起きると、口の中がネバネバしている
- 口臭が強い、または強くなった気がする
- 歯ぐきがはれている
- 歯みがきをすると出血する
- 最近、歯が伸びた気がする
- 歯がぐらついている
歯周病は、病気の進行度合いによって、軽度のものを「歯肉炎」、重度になってくると「歯周炎」と呼ばれています。
さきほどのチェックリストは、実は歯周病の進行度合いに合わせた症状の順番に並んでおり、1・2は要注意の症状、3・4は歯肉炎の症状、5・6までいくと歯周炎の症状といえます。
4.の「歯みがきをすると出血する」については、歯みがきの強さによって出血することもあります。磨いていて痛いなぁと感じるときの出血は、磨きキズによるものですが、そうではない場合に出血したときが要注意です。
歯が抜けてしまうことだけでも怖い歯周病ですが、最近の研究では、もっと怖い研究結果が出ています。
それは、歯周病菌と全身疾患の関連性です。口腔は消化器官の始まりで、歯から付着している菌が離れ、全身に拡散していく可能性があり、健康に大きく影響することが考えられます。
つまり、歯周病の進行は全身にも影響を与え、たとえば、コントロールされていない糖尿病は、炎症の亢進や末梢循環障害などを起こすため進行しやすく、骨粗鬆症や心臓疾患などとの関連性も報告され、他に脳卒中や、肺炎、糖尿病、早産などにも関与していることがわかってきています。歯周病の患者様は、歯周病でない患者様に比べて致命的な心臓発作を起こす危険が約2.8倍、早産の確率が7.5倍高いということも報告されています。
しかし、歯周病と口腔衛生の不良状態が、狭心症や心筋梗塞などの冠状動脈疾患に対する原因となることを、知っている人がどれほどいるでしょう?
私どものホームページで、一人でも多くの人に歯周病の危険を分かってほしいと思っています。
プラークは毎日のブラッシングだけでは完全に除去されず、専門家による機械的歯面清掃(PMTC)と歯石除去が必要とされます。
PMTCとは、歯科医師・歯科衛生士等が器具とフッ化物を応用し、すべての歯面の歯肉より上、または、下1~3mmのプラークを機械的に除去する方法です。
歯周病の予防は、毎日のブラッシングと定期的な歯科受診によるPMTCと歯石除去が一番よい方法だと思われます。
歯周病が進行した場合の治療は、従来では、病的に深くなった歯肉溝の切除が中心でしたが、歯を支持している組織(歯根膜、歯槽骨)が、元の状態に回復したわけではなく、低い位置で治癒し、歯が長く見えるという難点がありました。しかし、現在は、再生療法で元の状態に近づけることが可能になってきました。
それが、エムドゲインです。
エムドゲインとは
主成分;エナメルマトリックスデリバティブ(EMD)。
幼若ブタの歯胚から抽出・精製した蛋白質(EMD)で、現在の科学技術水準に基づく高い安全性を確保しており、厚生労働省の医療用具承認を受けております。
EMDは、歯根表面に不溶化被膜を形成し、セメント芽細胞が付着し、その結果新生セメント質が形成され、歯の支持組織が再生されます。
当院では、骨の欠損が大きい場合、骨補填材(自家骨など)を混ぜて使用することにより、良い成績をあげています。
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実際の症例です、かなりの骨が失われています。抜歯しか方法はありません。 しかし、エムドゲインと自家骨を混ぜ、骨のない所をうめました。 骨がびっくりするぐらいできました!
術前のレントゲンです | 術後6ヶ月経過したレントゲン | |